マスタークラス Master Class

料理の画像 うなる丼
2017年・秋クラス
<実施日>
2017/09/30

今回のテーマは『雑穀の加工』(基本編の最終版)です。
コツがいっぱいというよりも、コツだらけのまさにマスタークラス向けの課題「うなる丼」を実習しました。

レシピ通りに作れば、誰にだってできるのですが、そこはモーツァルトのピアノ曲と同じこと。子供にだって弾けるけど、上手に引くには大人でも難しい。
このうなる丼は、段取りをきっちり整え、雑穀の扱い方のテクを駆使し、手回しよくちゃきちゃき作らないとおいしく作ることができないのです。

うなる丼 この「うなる丼」は、浦和にある高級うなぎ屋で食してきたものを下地にしています。なので身が厚く、口に入れるとほろりと崩れるようなやわらかさという本寸法な蒲焼きであって、スーパーの安いそれとはまるで違うものになっています。
きのこ吸い 鰻の蒲焼きといえば、当然ついてくるのが肝吸いです。ちえ~るはそれをきのこの出汁で再現。なので「きのこ吸い」です。
ヒラタケ17 出汁を取った乾燥ヒラタケを使いまわして作るのがこちら、「ヒラタケ17(セブンティーン)」です。簡単に作れて、ご飯のお供にもおにぎりの具にもよい常備菜です。
芋山水 和風の煮物「芋山水」です。作ったその日はまだ味が若く、翌日以降、厚く切った具たちに沁み込んだ汁の味がたまらなくなります。たまにこういうものを食べると、日本人なんだなぁって思います。
素麺包子(そうめんパオズ) デザートは「素麺包子(そうめんパオズ)」です。中に入っているのは甘く味付けしたソーメンという、実にユニークなスイーツですが、食べてびっくり、味はちゃんとイケるんですよ!

今回はワンドリンクを創作するという実習も行いました。
普段、なかなかこうした創作をすることはないと思いますが、やってみると実に面白いものです。
なにより、作られた作品がいろいろなことを物語ってくれますから。

ただ、学校と違い、誰のが良くて誰のがダメでといった比較評価は一切しません。
そうやって比べて点数をつけて競争させることがマスターの目的ではないし、その手法では決して料理は上手にならないからです。(料理の基礎的な技術ができている前提の話ですが)

自分という個性があり、それがどういうものなのかをちゃんと把握すること。
そのために、他の人と比べる。そこにこそ、本来、比較するということの意味があります。
こうした創作には、作り手の個性がとてもよく表現され、それはどれも愛しく、優劣を決めることはできないものなのです。

各々の個性を伸ばして、その人が作り出す味の最高到達点のおいしさを目指す。これがマスタークラスであり、そのためにはなによりもまず自分を知ることが大切なのです。


<ご参加頂いた皆さん>

2017/08/26

<生徒さんの感想>

前回のオールダーシュの宿題、一生懸命に気をいれて作りました。
同じ物をつくっても、人によって味が明らかに違う、本当に不思議ですね。
自分で作った物しか食べないので、課題での味見は貴重な機会です。
先生方、ともに学ぶNさん、いつもありがとうございます。

今日のうなる丼。今まで習ったことがぎゅっと詰まっていてマスタークラスも後半に入ったことを実感しました。コツが沢山のうなる丼。自分で納得のいく出来を目指します。

ドリンクの創作もとても楽しかったです。
いろいろな材料を味見しながら混ぜていき、もう少しかな、まだかな、どんな風に変化するかな、などなど・・・よりおいしくしていくために何をどうするのか、これも今までの学びの確認になりました。

マスタークラスはお料理だけでなく、毎回、自分が何を大事にしていきたいのか、私の個性は何かしらなど、年を重ねる毎に味わい深い人生にしていくためのヒントをいただいています。

次回もよろしくお願いいたします。

宿題だったオールダーシュは、Sさんのと私のと味が違うことがはっきりわかりました。
何度も作った中で、Sさんの味と似ているということはなかったし、今後も同じになることはないのですね。

比べるからこそわかる自分のこと。
いつも二人の味は違っていたけど、今回はわかりやすく、「今後何を伸ばしていくのか」という話の意味も、今までよりもわかってきました。
ここでしか学べないことだなあと、改めて感じました。ありがとうございます。

ワンドリンク創作は、「えーっ、何が判明しちゃうのかなぁ~」と思いつつも、面白がって作っている自分がいました。
「何だか大人しくまとまっちゃったかなぁ」と本気で思っていたので、「いやいや、十分アグレッシブ。大胆。」と言われて、一瞬ビックリ。あ、でも入れたものを振り返れば、そうだわ、確かに!
笑っちゃいました。いつからなんだろう、自分のこういう部分は。こんなふうに自分を知るとは、面白い!

最後に雅仁先生から「あと何を加えたら おいしくなるのか、常に考える心を持つ」というお話。この楽しい実習の深い意味が胸にドンときて、心の中でちっちゃく叫んでしまいました。

コツばかりでできているようなお料理、うなる丼。重要な段取り。
料理に限らず、自分自身の課題だと思っていることもいろいろ含まれているなぁと感じました。大チャンス!と思って、一生懸命取り組みます。